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ブロぐるめ!の特集/連載 : 叫子の部屋
2009.12.30第4回:CIA主催の世界最大級の国際料理会議
Worlds of Flavor 2010’Japan:Flavors of Culture記者会見完全レポート
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リーマンブラザーズの破綻をきっかけに、厳しい世界同時不況に陥ったと言われている。すでに 1年が経過しているものの、不況だ、不景気だという言葉を耳にしなかった人はいないのではないだろうか。

しかし、私は断固として言いたい。もう、そんな言葉は聞き飽きたと。守りに入ることに人々は疲れ始めているはずだ。人は本来、夢に向かって挑戦していく動物なのである。夢を見るワクワクした気持ち、それを叶えた時の悦び。そのパッションは時代背景や時勢に関係なく、我々の中に変わらず流れているものだ。人は夢を見、夢に向かってチャレンジしていく。挑戦していく姿を見て感動はいつしか伝染し、周囲も巻き込まれ、大きな潮流となっていく。

さて ― 日本の料理業界が今、静かな興奮状態にあることをご存知だろうか。来年11月にアメリカで、日本の食文化を紹介する世界最大級の祭典が開催されることが決定したのだ。テーマは「Japan : Flavors of Culture」。このカンファレンスの実施にあたって、日本からは古典からモダンまで業界屈指の料理人が選抜され、“チーム・オブ・ジャパン”として3 日間に渡り、世界中のプロの料理人に向けて「日本食の何たるか」をデモンストレーションすることになっている。

このイベントを主催するのは、世界一の料理大学といわれる CIA大学(The Culinary Institute of America )。 カリナリーアート(料理)とベーキングアンドペイストリー(菓子)の学士号が取得できる教育機関だ。そしてこのCIA大学では毎年テーマを決め、プロの料理人を対象にした国際会議、「Worlds of Flavor」を開催している。3日間の通しチケットは1000ドル〜1200ドルと高価ながら、世界の食トレンドの最先端を学べる場として定着しており、毎年すぐに完売することで知られている。
食に関わる日本の料理人にとって、これは未だかつてないセンセーショナルなニュースだ。日本食、そしてその背景にある歴史と食文化を世界に発信する、またとないチャンスである。

“チーム・オブ・ジャパン”に選出されるのは誰なのか。選ばれたとして、伝えたい数あるものの中から一体何を持ち出し、世界に紹介していくのか。

1月末の発表に向けて最終メンバーは絞られてきており、最終選考に入るという12月9日、ホテル西洋銀座で日本事務局による記者会見が開かれた。

夢に向かってチャレンジする料理人ほど、私たち食べ歩きブロガーの血を踊らせるものはないと思う。今日本の料理業界では、何が起こっているのだろうか。記者会見の完全レポートをお届けする。
グレッグ・ドレッシャーThe Culinary Institute of America, Executive Director of Strategic Initiatives
力石寛夫日本事務局長、トーマス アンド チカライシ株式会社 代表取締役
村田吉弘カリナリーアドバイザリー委員、株式会社菊の井 代表取締役社長
徳岡邦夫カリナリーアドバイザリー委員、株式会社京都吉兆 代表取締役社長
三國清三カリナリーアドバイザリー委員、株式会社ソシエテミクニ 代表取締役
中村隆晴組織委員、キッコーマン株式会社 執行役員・コーポレートコミュニケーション部長
青木時男組織委員、マルコメ株式会社 代表取締役社長
CIAという料理大学をご存知ない方もいらっしゃると思いますので、まずはグレッグ・ドレッシャーの方からCIAのご説明、そして来年アメリカのナパで開催されます「Worlds of Flavor 2010 」イベントのご説明をさせていただきたいと思います。

その後、日本事務局の私の方からお配りさせていただいたパンフレットを中心に、皆様方にもう少し細かい説明をさせていただきたいと思います。

その後、チーム・オブ・ジャパンということで、これから色々なジャンルのシェフをおおよそ65名ほど選出いたしまして、来年11月のイベントに臨みます。そのチームリーダー的な役割をしていただきます「菊乃井」村田さん、「京都吉兆」徳岡さん、そして「オテル・ドゥ・ミクニ」三國さんの方から、このイベントに対する思いをお話させていただきたいと思います。

また、このイベントは多くの企業様のスポンサーによって成り立っております。その中からすでにご協賛いただいているキッコーマンさん、マルコメさんに、スポンサー企業としてこのイベントに対する思いをお話させていただきたいと思います。

それではまず、プロジェクトの総合プロデューサーの役割をしております、CIAグレッグ・ドレッシャーの方から、CIAの簡単なご案内を含めましてご説明させていただきます。
CIA日本事務局の皆様方、および事務局長の力石さん、このプロジェクトの実現にご尽力いただき、ありがとうございます。私どもの大学、The Culinary Institute of America(CIA)大学は来年、食に関する大々的な国際会議を開催いたします。

CIAおよび「Worlds of Flavor 2010」の説明に行く前に、まずはビデオを再生し、「Worlds of Flavor 2009」のハイライトシーンをお届けしたいと思います。

これがハイドパーク・ニューヨークにあるメインキャンパスになります。そしてこちらが、「Worlds of Flavor 2010」を開催予定の、カリフォルニアキャンパスです。

2010年11月、このカリフォルニアのナパ校で、「Japan: Flavors of Culture」をテーマに、700名ほどのコックシェフやフードプロフェッショナル、ジャーナリストを対象に開催いたします。

このイベントは日本とアメリカから 65名以上のシェフや食のエキスパートが参加します。そしてこれは、日本の料理や食文化をテーマとしたプロフェッショナル向けのイベントとしては、アメリカで最大で最も重要なものとなります。皆様にぜひこのカンファレンスにご参加いただき、11月にCIAでお会いできることを心待ちにしております。
過去2年間のハイライトをお届けします。これは2006年に開催された、スペインをテーマにしたものです。次のクリップは2007年の「Rise of Asia」からのものです。日本のみならず、中国・シンガポール・タイ・ベトナム・インドなど、アジア諸国から数多くの料理人に、プレゼンターとしてご参加いただきました。

それでは、The Culinary Institute of Americaについて少しご説明いたします。CIAと省略して呼びますが、皆様がご想像されるCIAとはまったく違う組織です。共通するのはどちらの組織も秘密をたくさん持ち、ナイフを使うことくらいでしょうか(笑)

私どもは概して“世界の料理大学”と称され、アメリカで唯一、カリナリー(料理)の学位を取得できる4年制大学です。本校はニューヨーク、カリフォルニア、テキサスにもキャンパスを持っておりまして、シンガポールにも新たに開校予定です。1946年に始まったニューヨーク本校は、ニューヨークシティからハドソン川方面に、1時間半ほどの距離にあります。そして、こちらがカリフォルニアキャンパス。「Worlds of Flavor 2010」の開催予定地です。

大学教育のクオリティはアメリカの他のカリナリー大学に比べてもトップクラスでありまして、12人のマスターシェフを中心に160人の教員を抱えております。これは全米のカリナリー大学の中でも最も多い人数です。在学中の生徒は2,700人。毎年6,000人ほどのシェフの卒業生が、アドバンススタディを受けるためにCIAに戻ってきます。卒業生は現在世界中で働いており、その数は全部で37,000人にのぼります。三ツ星を持つ著名なシェフを始め、大手チェーンレストラン、大学など施設のカフェテリアのオペレーションや、メジャーなホテルグループ、スーパーマーケットなどのフードサービスに従事しています。1つ例を挙げますと、フォーシーズンズホテルだけでも350人の卒業生が仕事に就いております。
ここで少し時間を取って、2009年のアメリカのフードサービス産業についてご説明しますと、レストラン部門だけで566ビリオンドル規模の業界になりました。これはアメリカ人が年間通して食事に使うお金の約50%に当たります。アメリカ人は外食が大好きです。今年だけで、全米94万5000のレストランで、70ビリオンもの食が提供されるというデータも出ております。

CIAはこの分野ではトップの教育機関となりますが、若い方々を教育し、トップリーダーになっていく手助けをすると共に、すでにプロとして活躍されている方々を対象に、未来の食トレンドのトレーニングに力を入れております。他のトップ大学ともパートナー関係にあり、ハーバード・メディカル・スクール、コーネル大学などと密な連携を取っています。

「Worlds of Flavor」国際会議は13年前に始まりまして、世界のキュイジーヌを取り上げる、アメリカで最も影響力のあるプロ向けの祭典と言われております。毎年 700名の来場者があり、リーディングシェフ、レストランオーナー、フードサービス企業のエグゼクティブ、バイヤー、ジャーナリストで構成されます。1人 1人の来場者はいち消費者、いち生徒であるばかりでなく、フード産業の第一人者で、1000ドル〜1200ドル(購入時期によって異なる)のチケット代をお支払になって参加されるため、カンファレンス中、とても熱心に勉強されます。チケットは通常、何百人もの人々をウェイティングリストに残したまま早々と完売してしまいます。

このカンファレンスは、レストランエグゼクティブ達が来て、新しいフレーバーを学ぶ場です。アメリカのレストランシェフはこれまではヨーロッパ料理により注目してきましたが、現在ではアジア料理が台頭し、CIAは彼らにとって、未知なるアジア料理を学びにくる定番の場となっております。それが今回の 2010年のテーマ、「Japan: Flavors of Culture」につながるわけです。

今回の国際会議は日本の食―― 伝統的なものからニューウェーブまで ――に、100%のフォーカスを当てます。これはアメリカでは未だかつてない、日本の食を取り上げるイベントとして最も大きく、最も影響力のあるものであることを、再度強調させて下さい。このイベントを開催するにあたって日本事務局のご協力をいただきまして、日本から約50名のトップシェフを選出し、アメリカにご一緒いただきます。その他ヨーロッパやアメリカからの約15名も含め、全部で65名ほどで、3日間のデモンストレーションを行う予定でいます。

アメリカでは近年、日本食に多大なる注目が集まっています。どこのスーパーマーケットに行ってもSUSHIが並び、日本食レストランは軒並み人気があります。アメリカ人にとって今はちょうどその時。日本食についてもっと学びたいと欲する時期に来ているのです。そういった意味で、カンファレンスの時期としてこれ以上のいいタイミングはありません。

さらに付け加えさせて頂きますと、これまで13回実施したカンファレンスのうち、ある1国にテーマを絞って開催したものはヨーロピアンガストロノミーの中でも“RISING STAR”と称されるスペインのみで、日本はそれに続く2国目になります。以上でまずは簡単なご説明を終えます。
今グレッグ・ドレッシャーの方からご説明させていただきました通り、来年のイベントは私共日本にとっても、日本食を正しくアメリカの方々にお伝えさせていただく大変いい機会だと思っております。今年の4月〜5月に、組織委員会とカリナリーアドバイザリー委員会という2つの委員会を立て上げさせていただきました。実は今日も朝10時から実行委員の方々にお集まりいただいて、来年のイベントの色々なディスカッションをさせていただきました。

お手元にお配りしましたパンフレットの2ページ目には、こう書かれています。「この国際会議はアメリカで、世界の食とトレンドについて最も影響力のあるフォーラムとして広く知られています。アメリカの食の新しい流行が、このイベントをきっかけに全米に浸透することも多くあります。」このように私どもにとりまして、本イベントは大変大きな意味を持つものではないかと思っております。

次のページに、イベントの目的と意義を書かせていただいております。1つ、「米国における飲食業界のプロに対する日本の正しい食文化の紹介」、2つ、「食を通じての日米の国際交流と親善」、そして3つ、「食文化に関わるスペシャリストの職業人としての意識の高揚と地位向上」。イベントを通じて料理人の方々のプロフェッショナルとしての意識の向上を考えていくような、1つの大きなきっかけにしたいという思いがこのプロジェクトにはございます。今日はそういう中で、まずは日本を代表する選抜メンバー“チーム・オブ・ジャパン”のリーダー的存在、「菊乃井」の村田さんから一言、ご挨拶をお願いしたく存じます。
取材・文 / 華麗叫子
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