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2009.03.22第1回:「カレーですよ。(40歳おとなこどもはどこに行く!?)」はぴいさん
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カレーですよ。 (40歳おとなこどもは どこに行く!?)by はぴいさん
馴染みやすい文とメランコリックな色調の写真で、1,000件以上のカレーを紹介している「カレーですよ。(40歳おとなこどもはどこに行く!?)」 のはぴいさん。

フットワークの軽さはもちろんのこと、お店の空気感や、そこにいる人々の笑顔まで透けて見えるような温かい視線が心地よく、気づけば毎日通ってしまっている読者も多いのではないでしょうか?

今回は、カレーブロガー はぴいさんにご登場いただきました。
ブログを始めたきっかけは何ですか?
いきなり暗くなってしまうのですが、よろしいでしょうか(笑)

ブログを開設したのは4年前、2005年2月1日のことです。実はその前に約10年ほど、調理師として厨房に入り、焼鳥を焼いていた時期があったんです。ところが交通事故に遭ってしまい、足首とくるぶしを骨折。治りづらく再骨折しやすいという荷物を抱え、長時間の継続的な立ち仕事には向かない身体になってしまいました。

ブログを書くきっかけとなったのは、入退院や通院を繰り返す療養の日々の中で、考える時間が大幅にできたことでしょうか。まずはこれまでの自分の棚卸しをしたいという気持ちがあったのと、もう1つはもともと文作が好きなので、「筆を錆びさせちゃいかん」と思うようになりまして。その手段のため、気軽に日常を書き留められる「ウェブログ」というツールを使ってみることにしたんです。
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では、ご自身のブログの紹介をお願いします。
タイトルは「カレーですよ。(40歳おとなこどもはどこに行く!?)」。スタート当初のタイトルは「40歳おとなこどもはどこに行く!?」だったのですが、すぐにカレーに関する記事が多くなってきたため「(カレーですよ)」部分を付け加えました。すでに44歳になっていますが、スタート記念で数字はそのままにしてあります。

カレーが主ですが、カフェ巡りなんかも好きで取り上げています。事前リサーチをあまりせず、思い立った駅に降り立ち、その時の気分で店にふらりと入るようにしています。レストラン評価がメインテーマではないので点数をつけませんし、店舗基本データも積極的には載せていないんです。
「カレーを食べ歩く、日々の気持ちを含んだ紀行文」になってゆけばいいと考えているので、明確な形は決まっていません。でも「ウェブログ」という言葉は「ウェブ上の日記」という定義なので、このままでいいのではないかとも思っています。
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ブログのコンセプトや、運営上のこだわりはありますか?
いつも「なぜなんだろう?」という言葉をキーワードにして、文章を書くようにしています。これはブログに限らず、僕の日々の暮らしのメインテーマでもあるわけなんですが。「なぜなんだろう?」と考えるとその理由が見えてきて、相手をより理解できたり、相手の思いに寄り添うことができるのではないかと考えています。怒っている人にも、笑っている人にも、それぞれちゃんとした理由があると思うんですよね。

例えばお店に入った時、その日のお客様1人1人の心の持ち様や、天気など外的要因によっても、お店の対応や味の感じ方はまったく異なるものになると思うんです。ただ、移ろう雰囲気の中にも変わらず感じられるその店の空気というものがあって、その空気になじみ、店の人たちの思いに浸るというのが、一番のテーマです。

過ごしやすく快適なのか、それはなぜなのか。心がこもったサービスなのか、それはお店の人の内側から生まれてきたものなのか。その上で“シンパシー”が感じられるかが大切。きちんと思いが通っている料理は、うまいに決まってます。それと、いくら味がよくても“作り手や出し手の気持ちが伝わる空気感”がなければ、本物と言えないのではないでしょうか。

そんな風に感じ、自分なりに解釈しながらカレーを食べ歩き、文章を紡いでおります。
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なぜテーマを「カレー」にしようと思ったのですか。
ブログを始めてから半月ほど、わずか10記事ほどで、カレーの記事を書き始めたんです。

ただ考えてみると、こども時代からカレーが好きだったんですね。

転機は高校生の頃。「背伸びをして大人っぽいレストランに」と思ってガールフレンドを連れて行ったのが、当時九段坂上にあった「アジャンタ」でした。そこで彼女そっちのけで、衝撃的なおいしさのインドカレーに真剣になってしまったんですよ。以来カレーの食べ歩きは現在まで綿々と続いているので、カレーブログになったのは必然と言えるかもしれません。

うまいインドカレーに衝撃を受けた10代。それをひたすら食べ歩いた20代。インドカレーのみならず、エスニック料理全般に興味が広がったのが30代。それをブログで記録し始めたのが40代。そんな流れがあったような気がします。
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ブログを始めたことによって得られたものや、発見はありましたか?
ものごとを見る視点が変わってきたように思います。後で思い起こして文章にするわけですから、ただ漫然と体験したり食べたりするのではなく、感じたことをきちんと形にするために、ものごとをつぶさに観察するようになりました。メモもよく取るようになりましたね(笑)

積み重ねによって得られる価値 観があるということを再認識したのも、僕にとっては大きいことでした。

例えば4年前の訪問ではわからなかった、あるお店のカレーの香りや味の理由。ただ「おいしいな」と思った4年前に比べ、今改めて食べてみると、なぜおいしいのか、おいしいと感じさせる要因は何なのか、その理由が自分なりにわかるようになってきたんです。それが、積み重ねや体験を豊富に持つことによって得られるものだということが、とてもよくわかるようになりました。

何もわからないのに食べておいしいと思った体験と、自分の中に蓄積された経験から、おいしさの理由がわかるようになった体験。その2つの体験がブログに記録記事として残っているわけですから、時間をかけなければ得難い、貴重な体験をしているんだと思います。
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今後の目標などありましたら教えて下さい。
実は現在、ポータブルタンドールを製作することにハマッています。焼鳥を焼いていたという背景からかもしれませんが、僕はどうも「焼く」という調理法に惹かれてしまうようで。

タンドールというのはよくインドカレー屋さんの厨房に置いてある、ナン・タンドリーチキン・シークカバブなどを焼くのに用いる土窯のことです。洗濯機ほどの大きさがあって、個人で購入したり家に設置するのはハードルが高いのですが、小さくて持ち運びのできるものを自作できないかと思い、始めました。

その様子をブログ内の「ポータブルタンドールプロジェクト」というカテゴリに分けて、レポートしています。

面白いことにこのプロジェクト、完全に僕の個人的な趣味から始まったものですが、試作品をインド・フェスティバルの「ナマステ・インディア」に出展させてもらったり、ポータブルタンドールの開発に力を入れている数少ないメーカーとの交流が始まったりと、リアルでもタンドールつながりの活動が増えてきました。先日は勉強のため、ご自宅にタンドールを設置していらっしゃる、東京カリ〜番長・水野仁輔さんのお宅にもお邪魔させていただきました。こうやってブログ記事で発信することで、今までつながっていなかった人とつながれるというのが、ブログの大きな魅力のひとつだと思います。

ポータブルタンドールプロジェクトは、去年までの第一期は「制作」がメインとなっていましたが、今年は「運用」をテーマに進めていきたいと考えています。ポータブルタンドールを持って色々な場所に出向き、うまいものを焼いてみたい。そしてできることなら本場インドに出向いて、タンドールを研究する旅を実現させたい。

僕は、ブログはテーマ探求ツールになりうると思います。そして個人の活動は、社会を動かすことだってあるんじゃないかと。ちょっとかっこ良すぎるかもしれないけど、“ブログでムーブメントを起こしたい”、そう思っています。
最後に、読者の方々へのメッセージをお願いします。
ブログをやっていて良かったと思う瞬間はたくさんありますが、何よりうれしかったのは、ただ闇雲にカレーを食べ歩く中で新たな友人たちを得たこと。彼らはかけがえのない存在なんだと、いつも感じています。それはお会いした方ばかりではなく、ブログを読んで下さっている読者の方々も同じこと。

僕の記事をご覧になって、気になったレストランに実際に足を運ばれた方は、味や人との出会いや触れ合いを通して、僕が思う“体験の共有”を堪能できたのではないでしょうか。そんな皆さんからのメッセージを頂けた時、僕の中に大事なものがまたひとつ刻まれます。誰かと心重なることがあればあるほど、今自分が見ている世界 は、大きく広がってゆくんだと思います。

いつもありがとうございます。

はぴいさんの要チェック記事!

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カレーですよスペシャル
「ポータブルタンドールプロジェクト」第一期終了 http://blogs.yahoo.co.jp/hapii3/56446956.html

「ポータブルタンドールプロジェクト」11
< 第ニ期発動 >
http://blogs.yahoo.co.jp/hapii3/57223740.html

はぴいさんの要チェックお気に入りブログ!

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お気に入りのカレー屋さん600
いわずと知れたカレー食べ歩きの金字塔、たあぼうさんの運営するブログです。淡々とした語り口と安定感ある文章は、読んでいて安心感があります。正確な店舗データと冗長すぎない文章、表現。読んで面白く、きちんと役に立つ、バランスが素晴らしいトップブログ。どなたにでもお勧めできる、よいブログです。
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毎日カレーとタイ料理
タイ料理、タイの生情報を軸足に据え、インド亜大陸料理からカレーライスまで、幅広い知識と情熱をこれでもかと詰め込んだ、エスニカンさんのブログです。お店の方とのコミュニケーションをきっちりとるスタイルがとても素晴らしい。知識がとにかく豊富で、辛い物にもめっぽう強い、情熱あふれるお人柄。毎日更新がこれまた素晴らしい。アジアエスニックが好きな方は必見です。

編集部からのコメント

はぴいさんのブログからは、飲食店への溢れる愛が感じられます。「なぜこうなっているのだろう?」「それはきっと、こういう意図があってのことなんだ」。食べ歩きも元々作り手だった人が食べ手にまわると、こんなに温かい目線になるものなのかと改めて感じ入ったインタビューでした。

そして最後の、「ブログでムーブメントを起こしたい」という発言。思慮深く、言葉を選んでお話されるはぴいさんがその瞬間、とても無邪気に目を輝かせていたのがとても印象的でした。ポータブルタンドールプロジェクトの今後が楽しみですね。はぴいさん、どうもありがとうございました!
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